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海蒼 絵葉書館*Photo Log

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【雑記】風の記憶

深夜、風の音で目が覚めた。
我が家は山の上にあるが、寒冷地仕様の二重サッシと建築のお陰で多少の風雨では眠りを妨げられることはない。
けれども札幌市内の観測所で最大風速30mを記録したというその夜は、さすがに窓が鳴った。
その音は、私たちの中でも五本の指に入る、冬の美幌峠での過酷な車中泊の記憶を呼び起こした。

2006年の年末近く、私たちは道東の美幌峠にある道の駅「ぐるっとパノラマ美幌峠」を訪れた。
道の駅の裏側にある展望広場に上がっていけば、名前の通り360度ぐるりと景色を見渡せる。
それだけ見通しが良く、また東西からの風が吹きぬけていく、風の通り道でもある。

屈斜路湖と中島



展望広場から、屈斜路湖と中島を望む。
年末の時期だと、ちょうど屈斜路湖と中島越しくらいの位置から朝陽が昇る。

雪煙を上げて

その日の夕暮れ時も例によって風は強く、駐車場の除雪をする除雪車がかいた雪が、強風にあおられて幕のように舞っていた。
そんな中、さっそくカメラを持って展望広場へ。
空はよく晴れていたが、風にあおられて地吹雪となった細かい雪の粒が容赦なく顔を刺してくる。

穂和in美幌

いたる所に見える白い点々は、すべて地吹雪の雪つぶて。
寒さと戦いつつ、日没までねばった。

美幌峠の犬

そんな極寒の中でも、元気な子もいる。
この白い犬は野良で、この道の駅を縄張りにしているらしい。

私たちが撮影に行く際は、基本的には移動に使う車の後部座席部分に布団と寝袋を敷き、そこで車中泊をする。
経費の節約もあるが、一番の理由としては、朝明るくなるのと同時に動き始めたいからだ。
前夜に目的地まで着いておけば、撮りたい時間のギリギリまで寝ていられる。
車中泊の際には、眠る前にエンジンを切る。

その日の夜の最低気温はマイナス13.8℃、風速は2m。
ただしこのデータは標高60mにある美幌町の観測地点での記録。
標高505mの美幌峠とは445mの差があることになるので、さらに2.9℃ほど低かったと推定される(標高100mで0.65℃下がるとして計算)。
風も暮れ時から一向に衰える様子はなく、車全体が揺すられるほどの強風だったことを考えると、風速10mくらいはあったのではないだろうか。
とすると、その時の外の体感気温はマイナス26.7℃にまで下がっていたことになる。

エンジンを切った車の中はあっという間に冷えていく。
そして寒ければその分、眠りも浅く、トイレに行きたくなる回数も増える。
道の駅のトイレは暖房も入っていて、24時間いつでも利用できるようになっている。
が、問題は車からトイレまでのほんの数十メートルの距離。
寒い車内でどうにか温かい布団から抜け出し、冷えた防寒着を着こんで風の中に出て行くのには、気合が必要だった。
そんなことを何度も繰り返して、ようやく迎えた朝。
車の内窓には全て私たちの吐いた息が凍りつき、外を見ることができないくらいになっていた。

今シーズンは理由あって車中泊をしての撮影には出かけていない。
自宅にいればどんなに風が強く寒い夜でも、快適に眠ることができる。
その代わり、極寒の絶景を見ることはできない。
体力勝負の車中泊があと何年できるのかはわからないが、可能な限りたくさんの景色に出会いたい、と懲りずに思う。

※道の駅「ぐるっとパノラマ美幌峠」の公式ページは↓コチラ↓
http://www.hokkaido-michinoeki.jp/data/76/each.htm


※美幌峠での写真をベースにした海蒼 絵葉書館のポストカードたち↓

優しく暮れる
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|  日々雑感(はるか) | 17:51 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑















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